~~ 市民による地域精神保健 ~~ 

- 健康は権利 - (無断転載はお断りします) 中村佳世

フランスの人権擁護制度 12jours (3)

レイモンド・ドウパルドン監督 「12日」 No7 - No10
Trailer du film 12 Jours - 12 Jours Bande-annonce VF - AlloCiné


2017.11.29に公開になったドキュメンタリー映画でフランスでは静かなヒットになりました。自らを真剣に語る10人の証言は感動的です。


2011年よりすべての強制入院について手続きが法的に正しく行われたものか、その後の入院継続を承認するかどうかを判事の面接により決定することとなった。入院から15日以内(2013年9月27日より12日以内)、その後は半年ごとに審査が行われることになっている。不服のある場合には10日後に再審請求ができる。



No7 ヌオーリ 男性34歳 判事男性60歳代 弁護士女性40歳代


ヌオーリ : ルワンダの生まれ。数年の路上生活の末ある女性を切りつけて刑務所に入るも責任能力なしと認められ8年前、精神科難治病棟(医療観察にあたる)に移された。さらに4年前に普通病棟に移り、外出許可も出るようになった。社会復帰の大学に通う承認をもらい再起を決意している。障碍者年金をもらいながら仕事につき普通の生活がしたいが治療は続けるつもり。面倒をかけたりかけられたりはもうたくさん。法律を守るのは自分の役目だと自覚を述べる。そして判事に問いかける。なぜ僕らは病気になるんだろう? 治って馬鹿にされないで生きていきたい。
判事 : 2008年の犯罪歴を執拗に述べこれが重大な法律違反であることを諭す。治療を続ければ普通の人として暮らせる。午後に審議にかけ決定すると告げる。
弁護士 : 言いたいのは8年前の彼ではなく今の彼を見て確認してほしいということ。彼に住宅を提供してもよいと言う人がいて彼を見守ることができるのが明るい情報と。


No8 ケバブ女性21歳 判事女性40代 弁護士女性40代


自殺未遂で入院。自殺しようとしたことはなく、レイプされたためにリストカットのふりをして逃れようとしたと主張。以前にも通院していたが治療を中断したのはテレパシーにより何もできなくされたためと。母のところに住みバイトを見つけたところでケバブ屋から履歴書をもってくるように言われた。入院過程の正当性の審査であることは理解している。判事にたいしては淡々と答え、入院継続も承諾する。
判事 : 話を真剣に聞くが自殺念慮と診断書にあるためそちらを信じている様子。ぶり返さないようにもう少し病院での治療がいいだろうと判断。
弁護士 : 健康状態が回復しているのはいい兆候。木曜日にはお母さんもくるし、通院の可能性もあるが先生の指示に従った方がいいと、彼女に言う。


No9 シャビス男性39歳 判事女性40歳くらい 弁護士40歳くらい


シャビス : 犯罪により服役していたが2014年からUMD(困難者用病棟)に移された。精神病院よりは刑務所の方が都合がよく、精神科医が自分の人生をじゃましていると考えている。最近状態がよくないと診断されていることに疑問を示し待遇に不満。自分の政治組織を立ち上げて自分は一人ではないから早く退院して事業を始めたいと。誕生日の数字合わせから、自分と母と父が三位一体であると信じている。父は法律が怖いので自分に会いに来られず家に引きこもっていると説明。刑務所と違い病院には期限がないのを心配している。
判事 : ひととおりシャビスの話をきくが、 状態は大変悪化していると診断書に書いてあるとおり繰り返しシャビスをいらだたせる。シャビスの父殺しが頭にあって審査結果はすでに決めている。
弁護士 : 問題となっていた介護士とのいざこざはここではなくうまくやっているのは重要なポイントだと主張。シャビスに時々語り掛ける。現在の状態はそんなに悪くないと見ているが、はっきりとそうは言わない。


No10 ソフィア女性 判事女性60歳代 弁護士女性50歳くらい


ソフィア : 小さな頃に母と引き離され、クリスマス前になるとその頃を思い出して不安定になる。自分の子供も預けられている。しっかりしたところがあり終始礼儀正しい。まず弁護士さんに話してもらってから自分の主張をしたいと仕切る。全面的にではなくても親子の愛情が大切なので、退院して自分の子供の面倒は自分が見ることが大事だと言う。薬も減っているし医師よりもソシャルワーカーの方が自分のことをわかっているので退院して心理療法に切り替えたい。神の前で誓うので退院して娘に会わせてほしいと懇願する。判事の拒否に不服申し立てをすると言い残す。
判事 : 母としての気持ちはわかるが病気を治してからでないと子供にもよくないとの主張。同情を示すがソフィアと子供を守るためには入院治療が必要と信じている。12日後の継続を承認。
弁護士 : ソフィアの生い立ちと彼女自身の子供の様子を語る。全貌を説明したあとはソフィアが自ら説明するに任せている。ソフィアの堅い決意を理解しており手続きに進む。

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