~~ 市民による地域精神保健 ~~ 

- 健康は権利 - (無断転載はお断りします) 中村佳世

地域精神保健 当事者運動から生まれたリカバリー

地域精神保健 はじめに 【当事者運動から生まれたリカバリー】 バザーリアの改革の後、当事者運動が活発になります。当事者運動から生まれた『リカバリー』『回復』という考えは、コミュニティメンタルヘルスのすべての基礎となっています。 様々に定義されていますが、みなさんはどのように定義されるでしょうか。 一例として 「人々が生活や仕事、学ぶこと、そして地域社会に参加できるようになる過程であり、ある個人に…

ベルギーの精神保健改革とインクルーシブ住宅

【ベルギーの精神保健改革】  〜収容から生活の場へ〜 ① 強制入院の定義と審査 https://gigi.muragon.com/entry/149.html ② 精神保健改革ブルーガイド : 理念と具体的な方法、日程など https://gigi.muragon.com/entry/160.html ③ これまでの進捗状況 https://gigi.muragon.com/entry/159.…

きょうだい児とヤングケアラーの権利

障害者、障害児については権利が語られるようになりました。 https://gigi.muragon.com/entry/161.html この機会に、きょうだい児やヤングケアラーの権利についても考えてみたいと思います。 障害児の陰で『健常』である事を期待されるヤングケアラーたち。 どんな問題を感じているのでしょうか。 なぜ無意識に権利を狭めているのでしょうか。なぜ『健常』であることを期待されるの…

『収容施設の壁が崩れ落ちる時』地域間交流 :トリエステ〜リール〜コルチェスター

(粗訳 : 中村佳世、翻訳許可 Dr. Jean-Luc Roelandt / CCOMS EPSMLille 59G21) Quand tombent les murs de l'asile 画面はダリオ さん『むかしmattoの町があった』第二部にエキストラで出演しています。 2005, フランス2, EPSMLille, ラジオテレビヨーロッパ連合との協働による 【 収容施設の壁が…

利用者の権利を明文化する事とその意義

【利用者の権利の明文化】 何となく抑圧されている感じや、怒りを感じたりしている事があります。どんな権利があるのか、言葉で表し明文化することで、要求を明らかにして伝えることができます。 それが条文にしてあれば、場合により不満などを訴えることができます。 どんな条文が必要でしょうか。 フランスでは、精神保健の利用者が『精神保健における利用者憲章』を作成して、保健省や病院協会とサインを交わしました。 …

バザーリアの略年表と思想

【バザーリア180号法】 https://gigi.muragon.com/entry/83.html 【バザーリアの言葉】 「私たちのなかには狂気が存在しています。」と万人における理性と狂気の内在を示唆し、狂気そのものの普遍性を唱えた。 また、長期入院の慢性患者については「病気が原因で病んでいるのではなく、施設が原因で病んでいることがわかってる」と長期入院について非を唱えた。(ウィキペディア参…

6/12 上映ドキュメンタリー映画『12日』対訳

フランス『司法による入院審査と退院審査 』 ドキュメンタリー映画「12日」  抜粋 レイモンド・ドウパルドン監督2017.11.29封切 フランスで静かなヒットとなったドキュメンタリー映画です。現在DVDが購入できます。 予告編  https://youtu.be/4QmmxdEtu68 このDVDには聴覚障害者用に字幕が、視覚障碍者用に音声ガイドがついています。日本語版がないので、それを基に翻…

市民権、幸福追求権を実現するための約束

【市民権、幸福追求権を実現するための約束】 障害者の権利は全ての市民の権利と同等です。 また、きょうだい、家族、支援者など全ての市民が障害者同様に幸福追求権をもちます。 侵害されやすい障害者の権利実現を補強する法律などを集めてみました。 厚労省のご意見募集窓口も載せておきます。 【精神保健利用者憲章】フランス https://gigi.muragon.com/entry/161.html 入院審…

『患者の権利』のための基本的人権 日本国憲法

医療基本法『患者の権利』を考えるに当たり、日本国憲法に定められた基本的人権をおさらいしておきます。 主権とは、国の進む方向を決める権利と責任を有する主体のことです。 第二次世界大戦以前は日本の主権は天皇にあり、その責任は天皇が負う仕組みでした。敗戦後アメリカの主権介入を経て、1947年に日本国憲法が制定されると、主権は国民にあるとされ、責任を国民自らが負う仕組みになりました。この主権の譲渡が日本…

精神科利用者満足度アンケート調査項目の例

【精神保健における利用者満足度アンケート】 権利憲章にどう対応しているかを見るために満足度アンケートの項目を調べました。 実例で、フランスのベズィエ中央病院とエドワード中央病院を日本の病院の比較をしてみました。 フランスでは、入院案内は受け取りましたか? 権利の確認はありましたか?などの項目があります。日本にはプライバシーは守られましたか?という項目はありますが、権利を確認する代わりに病院スタッ…

利用者による『精神保健における利用者憲章』とリスボン宣言

ご利用ありがとうございます。 ★ 注意 自身の自律に役立てて頂けるように無料で翻訳したものです。ご自由にご利用ください。盗用される場合は、憲章の真意が伝わらない可能性がありますので、その点ご留意ください。 翻訳した旨とそのお礼を、草稿者代表であるクロードさんにお伝えしたところ、憲章は法的な効力を持つものではなく、あくまでも憲法、法律、及び障害者権利条約が基準となりますとの事です。 【はじめに】 …

ベルギーの精神保健改革 ブルーガイド

【 計画書ブルーガイド 】 ケアネットワークとケアの連続性の実現によるよりよい精神保健に向けて ベルギーの精神保健改革 ブリュッセル版 目次 1  歴史的背景(地域毎) ・・・・・・2 2 現状・・・・・・・・・・・2 3 なぜ今、さらに先に進めたいのでしょうか? ・・・・・ 4 どのようなモデルを配置する必要があるでしょうか?・・・・ 5 地域ごとの実践とネットワークによる協働モデル・・・・・…

ベルギーの精神保健改革、進捗状況

『施設から地域へ : ベルギーの精神保健ケア改革』 ベルナルド・ジェイコプ :   (ベルギー精神保健改革国家プロジェクトマネージャー) WHO研究協力センター共催DIUリールII大学、パリ13大学、マルセイユ医療機関、大学間継続研修『地域精神保健』2020-2021 講座責任者 ジャン・リュック・ロラン WHO研究協力センターCCOMS元センター長/リール市東保健センターEPSM局長地域精神保…

ベルギーの精神保健改革III, IV (DIU De l'hopital vers la communaute: la reforme des soins en sante mentale en Belgique)

『施設から地域へ : ベルギーの精神保健ケア改革』 ベルナルド・ジェイコプ :  (ベルギー精神保健改革国家プロジェクトマネージャー) ジャン・リュック・ロラン : (精神科医、DIUリールII、パリ13、マルセイユ医療機関大学間継続研修ディプロマ講座責任者、フランス、リール市東地域精神保健局EPSM局長、元WHO欧州協力支局CCOMS協力支局長(在リール市)) III 政策的な変遷 36 政策…

ベルギーの精神保健改革④ (DIU De l'hopital vers la communaute: la reforme des soins en santenmentale en Belgique)

【ベルギーの精神保健改革、つづき】 II ネットワーク 18 ネットワークの構築 ▶ 機能的ネットワークの構築 ネットワークコーディネーター 戦略的なプラン ▶ 地域毎の応用設置 ▶ ケアと支援資源、専門職の包括 (全ての5つの活動分野) そんなところから始めてまずベルギー全体を領域に分け、各地区ごとにネットワークと呼べるものを構築しました。それはフランスにおける精神保健セクター とは全く関係な…

カリフォルニア州の入院審査と人権擁護

入院審査について日本に合った仕組みを考える座談会をしています。 下記は座談会で話題にのぼったカリフォルニアの例です。次回の座談会の参考資料にもなりますので、ぜひ参考にされてください。ベルギー、フランスの例も併せてお読みいただければと思います。(資料は大阪の精神医療人権センターニュースより) ≪カリフォルニア州の入院審査と人権擁護≫ KSKS(人権センターニュース№101)より 【長期入院の歴史】…

ベルギーの地域精神保健改革③Santé mentale en Belgique

【ベルギーの地域精神保健改革 ③】 ベルギーに注目する理由 ベルギーは、民間病院が主体であることが日本と共通していてかつ、改革に成功しています。 日本での改革が難しい理由としてよく言われるのは、病院が民間であり、経営のためにベッド数が大事な要素であることです。 そこで、同じ条件の元で、ベルギーがどのように問題をクリアしてきたのか調べてみました。中でも特に注目したいのはその精神です。 【施設から地…

ベルギー精神保健改革②視察報告 santé mentale en Belgique

ベルギーの精神保健改革②視察報告 ベルギーは日本同様、精神医療は民間主体で入院中心でした。 日本との違いは、入院審査に関する意識が高いことで、1990年代から法整備が始まっています。更に精神保健の大幅な改革が2010年に始まりました。 下記の資料では、度々の制度改革失敗の後に、「リカバリー」と「共同創造」の理念を土台に成功した改革の様子が詳しく語られています。 トップダウンとボトムアップの融合、…

ベルギーの精神保健改革①入院審査

注) 日弁連は、措置入院も差別であり廃止すべきという意見です。また、精神保健福祉法に規定されているのは強制入院であり、強制治療は規定されていないとの見解です。 参考 https://www.nichibenren.or.jp/document/civil_liberties/year/2021/2021.html ベルギーの改革① - 司法を介した入院審査 - 1990年、ベルギーでは第三者によ…

ストレングスモデル6つの原則

ストレングスモデル6つの原則 原則1 対象者のリカバリーを信じること 原則2 欠陥ではなく「ストレングス」に焦点をあてること 原則3 その人の暮らす周囲を「資源のオアシス」としてとらえること 原則4 本人こそが、リカバリーの旅の監督であると意識すること 原則5 看護師とその人の関係性を大切にすること 原則6 リカバリーの場は、その人自身が望む場であること 「資源のオアシス。地域に対してもストレン…