~~ 市民による地域精神保健 ~~ 

- 健康は権利 - (無断転載はお断りします) 中村佳世

オープンダイヤログ 森川すいめいさんと仲間たち

『オープンダイアログ私たちはこうしている』 「具体的な声のかけ方・応答例から、対話セッションの進め方や臨場感あふれる実事例まで、著者と仲間たちがいま実際に日本の臨床現場で行っていることを包み隠さず紹介しました。 対話を開く「工夫」や「アイデア」に満ちた本書を頼りに、オープンダイアローグの「はじめの一歩」を踏み出しましょう!」 著 森川 すいめい、発行 2021年09月 序文と目次 序文  北欧の…

オープンダイヤログの原則

オープンダイアローグ 「7つの原則」=「ケアの原則」 ①即時対応 ②社会的ネットワークの視点を持つ ③柔軟性と機動性 ④責任を持つこと ⑤心理的連続性 ⑥不確実性に耐える ⑦対話主義 リカバリー憲章を共通の理念とする地域精神保健の行動で身体に染みついて実践されていたのが正にこれらの原則でした。 https://gigi.muragon.com/entry/143.html オープンダイヤログその…

司法による入退院審査、ドキュメンタリー『12日』

ドキュメンタリー映画『12日』予告編 “12 jours”, de Raymond Depardon - bande-annonce ⑴ フランスの強制入院  フランスの強制入院には ① 自傷他害のおそれなどによる措置入院(periliminant)、第三者の要請による入院 (hospitalisation complète) ② 刑務所からの移転など国の要請による強制入院、困難者病棟入院(Un…

リカバリー憲章:地域精神保健のチームを結ぶ

リカバリーという考え方は、当事者運動の中から生まれ、地域精神保健全体の礎、土台になっています。 リカバリーは人により様々に定義されます。 国立精神神経医療研究センターは、 (https://www.ncnp.go.jp/nimh/chiiki/about/recovery.html ) 《米国の政府委員会によると、リカバリーとは、「人々が生活や仕事、学ぶこと、そして地域社会に参加できるようになる…

犯罪の責任能力とは? 判決保留、フランスの裁判

刑事責任はどこまで問えるか - 改正案 2017年にあるユダヤ人女性が殺された。 2019年の裁判では、犯人は大麻常用者で犯行の前に大麻を多用しているため責任能力無しと認められた。 これに反発してフランス中でデモ。 マクロンは、大麻の影響力はわかっていて使用したはずだと言及。 2021年4月高裁。「この事件を裁くために根拠となる法律が不十分なため判決を保留」という事態が生じた。 再びフランス中で…

犯罪の責任能力とは? 判決無し、フランスの裁判

刑事責任はどこまで問えるか - 改正案 2017年にあるユダヤ人女性が殺された。 2019年の裁判では、犯人は大麻常用者で犯行の前に大麻を多用しているため責任能力無しと認められた。 これに反発してフランス中でデモ。 マクロンは、大麻の影響力はわかっていて使用したはずだと言及。 2021年4月高裁。「この事件を裁くために根拠となる法律が不十分なため判決を出さず棚上げ」という事態が生じた。 再びフラ…

ヘイトの宝箱1 精神科入院に関しての回答

#世界統合失調症デー に初めて企画いたしました『ヘイトの宝箱』、急な企画でしたが前夜祭の23日は2名の参加があり、フランスの地域精神保健とアートについてお話させていただきました。「私にとってアートとはなごむことかな?」というご意見はこの日の宝となりました。 今日24日は様々な立場の人が私を含めて5名、書き込みでは3名が参加して、ヘイトについて意見交換しました。ありがとうございました。 まず、この…

CPT 欧州議会の隔離拘束に関する取決めQ&A

3/23 恣意的拘禁に関する講演  報告 T・ハーディング、資料翻訳平野裕二 東京第二弁護士会主催 【恣意的拘禁CPT 知識度チェック】 正解は下にコメント付き。 1.精神医療施設における保障措置に関する CPT 基準は、以下の基準等に基づいている。(複数回答可) a) 世界精神医学会の基準 b) WHO の基準 c) 訪問調査時の CPT の所見  d) ECtHR(欧州人権裁判所)の判例  …

精神障害者の権利に関してよくあるご意見 Q & A

たたき台を作成してみました。大いに叩いて頂いて、いいものを作っていきましょう。 精神科に入院について、よくあるご意見 【身体拘束について】 厚労省資料 (2011) https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/cyousajigyou/dl/seikabutsu10-1.pdf Q 拘束がかわいそうだと言うなら現場に行ってみろ。暴れる人を縛っておくのはその…

ピアによるクライシスホステル

松田博幸さん(大阪公立大学)のfb投稿からシェアさせて頂きます。 『ピアによるクライシスホステル』 アメリカでは、「ピアラン・レスパイト」(peer-run respite)、「ピア・レスパイト」(peer respite)と呼ばれる、クライシス(心の調子が崩れてどうしようもない状態)にある人が短期間(数日から1週間くらい)滞在し、落ち着けば自宅に戻る、当事者運営の場が展開されています。そういっ…

精神障害者の自律、社会は相互作用的

精神障害者というと守るべきものと受け取られますが、これには少し疑問を感じていました。 私の妹も統合失調症でしたが、私の健康を一番気づかってくれていました。体だけは大切にね、と。 後見のついた障害者の自律3型 自律について語るとき、できないことに着目するかできることに着目するかで、見方が変わってくるという面白い例がありました。 ① 理想型 Mさんは医師からもう大丈夫と言われて退院し、一人暮らしをは…

ピアサポーターによるエンパワーメント

https://www.madinamerica.com/2019/10/peer-specialists-mental-health-workforce/ 2019年10月、Mad in Americaに掲載された、ダービー・ペニーとピーター・スタストニー(Darby Penney & Peter Stastny)による記事を松田さんが要約されたものを更に要約してみました。 ピアスタッフとして…

GAM 相互支援による服薬の自律獲得, autonomie psychiatriic medication

Gaining Autonomy and Navigating Psychiatric Medication: Olga Runciman and Celine Cyr in conversation 『自律をつかみ取る服薬の旅』 オルガ・ルンチマン: 世界精神薬減薬協会より、セリーヌ・シーア: GAM自律獲得と服薬  相互支援グループによる精神薬の服薬コントロール、インターネット会議2020年…

IPS意図的なピアサポート まとめ

IPS 意図的なピアサポート(相互支援)1  IPS意図的なピアサポートについて松田博幸さん(大阪公立大学)は次の2点を指摘します。 1. 単なる自己啓発のためのプログラムに留まらない、社会変革とか運動といった文脈からピアサポートが生まれた 2. 援助専門職者が、自らに内面化されている医学モデル的な感覚や考えから解放されるという視点が大切   IPS 意図的なピアサポート(相互支援)1 (Sip…

IPS意図的な相互支援とは、シェリーミードにインタビュー L'entretien avec Shery Mead

IPS意図的なピアサポート2 創始者シェリーミードにインタビュー http://fr.psy.co/shery-mead-sur-le-soutien-par-les-pairs-intentionnel.html 出典:エリック・マイゼル 次のインタビューは、メンタルヘルスの将来についての一連のインタビューの一部です。 シェリー・ミードインタビュー EM: IPS意図的なピアサポート、その哲学…

人としての権利, 市民としての権利 droits des usagers

【権利】 権利というと抽象的な概念に見えますが、もとは複数形で具体的な一つひとつの権利をイメージする言葉です。権利には基本的な生きる権利、生存権や幸福追求権と市民としての権利があります。 これらは当然障害者にも確保されるべき権利で、障害者権利条約や差別解消法はそれが正しく行われるために補われた法律です。 それを確実にするために、障害者雇用、生活保障や障害者年金、割引き制度、更には後見人制度などに…

エンパワメント実施のコンセプト Enpowerment

【エンパワメント実施のコンセプト】 エンパワメントで最も重要なことは、当事者が市民としてリスペクトされ権利が守られることです。当事者自身が自分の市民としての権利を認識することが大切です。同時に、エンパワエントは関わる全ての人やグループにも必要です。 複雑な現代社会において、誰に取ってもエンパワメントは普遍的なものと言えるかもしれません。 【理論についてひとこと】 エンパワメントとは「メンタルヘル…

当事者の参加 participation des usagers

Psycom講座より『新しい』考え方の誕生 『当事者参加』コンセプトを行動に移す セリーヌ・ルビエールとイザベル・フルニエ (Psycom) 【参加と共同】 • リカバリー(主観的と医療的): - その人なりの個人的な充実感の発展 - リカバリーという目的が大事なのではない。時折りぶり返すこともありながら生きていく、単純ではない過程そのものが大事。 - 病気のために可能性が限られることがあっても…

コミュニティ市民精神保健 Psychiatrie communautaire

【コミュニティ精神保健の展望】 世界保健機関CCOMSディレクターJean-Luc ROELANDT 21/01/2019@パリ、リール大DIUで行われたセミナーより 【精神医療はどう変わったのでしょうか?】 •ケアの概念が変わりました:精神医学からメンタルヘルスへ •WHOにおける転換 •分類と治療の変更:懸念のある治療と、よい方向に向かうケア •リクエストを待つことから出向いていくことへの転…

市民精神医療 5-2 自助グループ La Trame

地域市民精神医療 5-2 自助グループ L entreaide 今回はパリで活動する自助グループラトラムをご紹介します。前回の活動の種類を増やしていくGEMとは異なり、あくまでも交流を主体としたグループなのでGEMとは呼ばれません。元々は家族会から始まったもので、主体が徐々に本人へと移っていった団体です。 こちらに伺っていろいろとお話も聞いてまいりましたので、追々記述を追加していきたいと思います…