~~ 市民による地域精神保健 ~~ 

- 健康は権利 - (無断転載はお断りします) 中村佳世

市民精神医療 2 仕組み psychiatrie citoyenne 2

今回からはいよいよ中身を見ていきたいと思います。
リール市の市民精神医療のしくみ
1 町に散りばめられた治療プログラムの場
2 急性期の治療と入院に代わるもの
3 回復期をサポートする様々な市民参加のしくみ


では、仕組みのなかでも実現しやすそうな町の仕組みから。


リール市の市民精神医療 - 2


1 町に散りばめられた治療プログラムの場
治療プログラムは、6地区全域で芸術、スポーツ、文化など、一週間に48のワークショップが用意されています。
その6割が一般市民のための施設21箇所で行われます。(各種協会、社交センター、スポーツ施設、メデイアライブラリー、グループホーム、老人ホームなど。)
治療プログラムには、絵、造形、スポーツ、ダンス、音楽、歌、ビデオ作成、メディアライブラリー、心身活動(生きてる体を感じる、アクアリラックス、感覚強化))などがあります。
すべてのワークショップにはプロの指導者がつき毎週4時間分の指導料が払われます。


地域文化振興局が、市民のための現代アートギャラリー内におかれ、町の行政と連携して財政を支えています。ここでは作品の展示会も行われます。
一般市民のための施設で行われるこれらのプログラムは、ユーザーを孤立から守り自然に社会参加へと導きます。これらの活動の際にはユーザーはギャラリーのレストランで食事をすることもできます。
医療チームはユーザーと家族と話し合い、治療プログラムが定期的に見直されます。
医療はモバイルチームが基本です。リハビリテーションチーム(心理士、看護師、SW)もモバイルチームは、精神科医と連携して治療プログラムをフォローアップします。必要なときには各拠点をおとずれ、面接や社会教育指導などを行います。(アパート、活動拠点、職業紹介の各サービス)
毎年500人を超えるユーザーがこのサポートを受けています。



2  急性期の治療


1    フルタイム入院


急性期の入院治療はジェロームボッシュ診療所で行われ、集中的に治療を受けることができます。1日平均10人が利用しており、2006年の平均滞在日数は8日間でした。将来はリール総合病院に統合される予定です。
入院にはユーザーの意思によるもの、国または第三者の要請によるものがあります。


入院中は、医療、心理、看護、社会教育インタビューの他に、芸術活動および治療、および身体的サポート(精神活性、ジヤグジー、サウナ、リラクゼーション、食事療法、美学)などを利用することができます。
ユニットは見守りの上で完全に開かれていて、ユーザーは自分の病気や治療について知ることができます。また、週に2回、医療チームとユーザーは退院などについて話し合います。
入院時にユーザーは医療部門のチームと話し合って、一部の人は診療所の他にFRONTIER $センターで治療ワークショップを受けたり、コンコルドルーム(市庁舎内)で食事をとったり、デイケアに参加したりできます。




入院に代わるものとして....


1    ホストファミリー

ホストファミリーは2000年から始まった制度で、現在12人まで利用することができます。
ホストファミリーはユーザーを家に迎え入れ一緒に生活することが目的であり、治癒を目的とはしていません。ですから前もってそのための指導を受けます。ホストファミリーはリール市精神医療センターの精神医療チームのメンバーで、ユーザー一人当たり1036ユーロ/月受け取ります。


急性期のユーザーは、診察の時または退院の時に家族と相談の上で、数日から数週間、ホストファミリーを利用することができます。
看護師とモバイル医療チームが訪問してケアサービスを行います。(投薬、水治療法、ジャグジー、各種の治療ワークショップなど) 入院時とほぼ同じサービスが受けられるので安心です。ユーザーは町の活動センターにも通うことができます。


治療プログラムを効果的に実施するために、治療の管理については、セクター同士でよく話し合います。この制度は精神科セクターチームに不可欠な部分で、ユーザーにとっても見守られ支えられるとても大切な機会です。
入院に代わる家庭での滞在は、平均日数21日間。この制度は家族医療の分野を専門化したもので、一人ひとりに合った質の高いケアをすることができます。



2   入院に変わる集中療養アパート


短期間のニーズに応える、市内に設置された集中的な療養のためのサービスです。10人まで受け入れることができ、8日ごとに見直しがされます。この施設は、すべての事実上の介護者、家族、友人、サークルの人などが遊びに来ることができる設計になっています。


ユーザーが支援を必要とするときには24時間対応ができる精神科医と、そのフォローアップチームがあります。フォローアップとしては、看護師による面接、精神科相談、心理相談、リラクゼーション、各種活動などがあります。サービスを受けている人々のために、急性期の後も患者のケアと指導が途切れないようにしています。


次回は、回復期をサポートする様々な市民参加のしくみについてです。
ここにも市民の参加を可能にする様々な施策が用意されています。



元記事はこちらです。
地域精神医療サービス、フランスリール市東地区の経験よりhttp://www.jmhhb.org/article.asp?issn=0971-8990;year=2014;volume=19;issue=1;spage=10;epage=18;aulast=Roelandt


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