~~ 市民による地域精神保健 ~~ 

- 健康は権利 - (無断転載はお断りします) 中村佳世

エンパワメント実施のコンセプト Enpowerment

【エンパワメント実施のコンセプト】

エンパワメントで最も重要なことは、当事者が市民としてリスペクトされ権利が守られることです。当事者自身が自分の市民としての権利を認識することが大切です。同時に、エンパワエントは関わる全ての人やグループにも必要です。

複雑な現代社会において、誰に取ってもエンパワメントは普遍的なものと言えるかもしれません。


【理論についてひとこと】

エンパワメントとは「メンタルヘルスや健康」の問題ではなく、グループ間の関わり方の問題です。

エンパワメントとは各レベル、各応用分野、異なるターゲットでのグローバルな考え方としてのエンパワメントで、一つに限定されたものではありません。

(ソロモン1976ベルガー&ノイハウス1977ラッパポート1981)


【エンパワメントレベル】 

1 個人、2 組織、3 構造

1 個人のエンパワメント: 

大切な4つの要素:

参加、自尊心、ノウハウ、批判的意識

2 コミュニティ内または集団のエンパワメント:

人も組織も行動を踏み出せるようにするコミュニティレベルでのリーダーシップの発展を可能にする組織構造 (ラッキー、バーク&ピーターソン1987)

3 構造的なエンパワメント: 

公衆衛生や健康政策にも影響を与える可能性 (ワルシュタインとバンシュタイン1988)

結果として、利害関係者、関係者、 個人などの力関係や構造そのものを変革する可能性がある (シャウィン1992)


【エンパワメントと社会】

1 グループ間に権力の重さの違いがあれば調整

2 エンパワメントと市民としての権利 : 

•市民権と参政権、市民としての義務の認識

•民主主義と国家へのアクセスは必要条件

•市民として自分の地域の政治的コミュニティに受入れられ統合されたと感じ、その中でアクションを起こすための一定の力を持っていると感じられること

3 自分が変わっていくプロセス :

•エンパワメントが獲得されると、第三段階のより高い参加度を構築できます。

特に最も不利な社会集団について、国家と市民社会の間の支配関係の逆転を可能にします。(アーンシュタイン1969)


【エンパワメントとメンタルヘルス】

WHOによるエンパワメントの定義:エンパワメントは、「精神医療サービスの利用者自身が、医療サービスや自分自身の人生の方向を選択し、決定し、影響を与え、制御することを可能にします。 エンパワメントの鍵は、公式および非公式の壁を打ち破り、個人、グループ、医療サービス、各行政機関との権力の関係とバランスを変えることです。」

他のケア的側面に関連する事としては:脱施設化、情報の共有、参加、医療サービスを組織、自己決定

考慮するべき事:対象とする異なるグループ(病状、障害の重症度など)

個人差(年齢、性別、文化的要因など)、ユーザーか介護者か


【コミュニティ精神保健とエンパワメント】

1 様々な変化

・ケアにおいて : 保護施設からコミュニティケアに、病院からサポートグループへ、パターナリズムからパートナーシップへ、治療からリカバリーへ、強制から協力へ

・方向性として : 生物学的医療から全人的/生物社会心理的的ケアへ、制御から自己決定へ

・専門家としては : 介護提供者から健康の促進者

ユーザーとして :「クレージー」な患者から市民としての利用者へ、対象者から主体へ、障害から可能性へ

・介護者としては : 排除された介護者からパートナーとしての介護者へ

2 コミュニティによるエンパワメント

医療資源のの動員、社会医療サービス間の交流、市民権の確保 

→ さらなる脱施設化により

3 各種医療社会サービスによるエンパワメント

民権の促進および地方自治体のサービスとのリンク、地域のほとんどの医療社会サービスの従事者を動員(対病院)、情報とリカバリー、ケアプロジェクトの明示的な要素、利用者がパートナーとして計画参画、一連のサービスの実施と評価 

→ パートナーを持つのではなくパートナーになる


パリ2020/01/24、DIU SMTより

翻訳、中村佳世

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