「震災とヒューマニズム」MFJフランス国立日本研究センター
東京の街について「老子の無為の思想と結びつけることができるとしても、都市づくりをカオスの美学という枠のみで捉えるのは、本当に住民の暮らしやすさを考えることとは視点が異なり同意できない」としたオギュスタン・ベルク。
その思想をもう少し知りたいと思い、彼の本を探しに近くの図書館に行ってみました。
風土として身についている日本の思想について書かれている本がいろいろありました。
それは西欧化の中で常に醸し出される身体的な日本の風土。
もちろん彼はその日本情緒を深く愛したひとりのようです。
日本の風景 西欧の景観 講談社現代新書
都市のコスモロジー 講談社現代新書
風土の日本 自然と文化の通態 ちくま学芸文庫
風土としての地球 Médiance 筑摩書房
都市、建築空間の場所性 宮城大学シンポジウム
そして、いろいろと検索をするうちに気になったのがこの本、
フランス国立日本研究センター編集の研究誌EBISUに掲載されたものです。
「震災とヒューマニズム」日仏会館・フランス国立日本研究センター / 明石書店
東日本大震災に対する人々の反応や運動などを紹介しながら政策や文化を論じています。
クリスティーヌ・レヴィ氏の序文に始まり、日本文化の研究者たちそれぞれの視点から論じられたもの。地震、津波、原発事故とその対応。
ちょっと目次を覗いてみましょう。
地理学の視座から
災害の本質
政治と原子力
守ること、声を上げること
復興の胎動
災害はどう表現されてきか
証言
3.11へのまなざし
オギュスタン・ベルクは災害の本質の項に論文がありました。
「風土、縁起、そして自然的かつ人間的な災害」
「風土」は彼のキーワードのようで、地理的な風土という以上に精神的な風土について彼は考察を深めていったようです。さまざまな分野を読み解くカギとなりそうです。
また、それぞれの視点が「人」から発していることに改めてフランスという国の文化を観ることになりました。経済の低迷するフランスは「経済最優先」にはなかなかならない。そして、それもまたフランスの「風土」であるように思います。
震災から2年後に書かれたこの本、序文では日本の国民が立ち上がったことへの称賛がはっきりと謳われています。
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