~~ 市民による地域精神保健 ~~ 

- 健康は権利 - (無断転載はお断りします) 中村佳世

医療過誤へのシンプルな対応

医療過誤へのシンプルな対応 「従来の医療事故裁判は、立証義務が被害者側にあり、判決までに長期化、裁判費用の高騰から患者側には非常に困難なものでした。本制度は、被害者救済を目的とし、無過失の証明責任を医療機関側に課し、迅速な裁判外解決を可能としました。」 https://sp.m3.com/news/open/iryoishin/855716 日本では、赤ひげ先生の伝統からか、異常に医師が尊ばれる…

これからの地域精神保健に望む事

【これからの地域精神保健に望む事】 ①当事者の自治 ・開かれた自助グループとその自治 ・グループホームの自治 地域精神保健 2 インフォーマルケア【当事者運動から生まれた相互支援】 - ~~ 市民による地域精神保健 ~~  ②市民の理解とサポート ・一般住宅への受入れ ・地域活動などへの相互参加 ・職場の受入れ ③精神科病院の役割の変容↓ 【地域を補完する精神科病院に望む役割】 ①自分の意思で入…

人権侵害の可能性 : 訪問支援員の制度化ー医療保護入院の場合

【訪問支援員制度】 〜医療保護入院に適用される場合〜 精神医療審査会が機能しない現状の法制度の下で、各人権センターが行なう訪問支援は素晴らしい次善の策です。訪問活動により透明性が増し、処遇が改善されます。 が、退院そのものはあまり進んでいないそうです。更に、現行の仕組みの中で「制度化」されるとなると一転、二重の人権侵害になるように思われます。 第一に、自傷他害さえない人が、医療保護入院という強制…

滝山病院事件から考える医療制度

医療制度がある意志、遺族として放っておくことのできない問題です。 滝山病院事件 〜相原弁護士のお話から考えたこと〜 都の指導があり、院長が依頼した第三者委員会(院内調査委員会)が、調査報告書をまとめました。改善すべき点も書かれていますが、元凶となった疑いのある院長に関する言及がなく、この事件の発見者とも言うべき、事情を知るはずの相原弁護士には、調査の聞き取りが無かったそうです。 法律では弁護士と…

当事者運動から生まれた地域精神保健~ニュージーランド

【軸となる概念、リカバリー】 WHO協力センターのあるリール市の地域精神保健は、当事者運動から生まれたリカバリーを軸に展開してきました。モバイルチームの拠点にはリカバリー憲章が貼られています。 リカバリー憲章:地域精神保健のチームを結ぶ - ~~ 市民による地域精神保健 ~~  改革の中心に立ったのは精神科医のジャン・リュック・ローランさん。これに感銘を受けて始まり、発展したのがベルギーの改革で…

セルフアドボケイトの試み

セルフアドボケイトの試み 市民の基本的人権と地域共生 ~セルフアドボケイトと市民の意見~ 序 地域共生に向けた変革  〜 ベルギー 〜  民間の精神科病院が85%というベルギーでは、保健省の真摯な努力により『生活と活動の場でのケアと共生』への制度改革が進み、多くの利用者が自分の場所で療養しながら自身の活動を続けられるようになりました。それを可能にしたのは豊富なインクルーシブ住宅と自由度の高いモバ…

寄稿 セルフアドボケイトの試み

市民の基本的人権と地域共生 ~セルフアドボケイトと市民の意見~                序に代えて コロナ禍を含む4年間、フランスに於ける地域精神保健の現場で学んできました。その際、資料探しから文字起こし、論文校正等の過程で多くの人に助けられました。中でも日仏両方の文化を背景に持つ清水アドリアンさんは、常に誠意をもって私を見守り、議論を重ね、探究を支えて下さいました。この小論を書くに当たり…

市民の視点、フランスの司法審査〜ドキュメンタリー映画『12日』

2017年暮れ.司法審査制度が実際に実施される現場を描いたドキュメンタリー映画が公開されました。かつてバザーリアから、精神病院の患者の写真を撮ることを依頼されたこともある写真家レイモンド・ドゥパルドンの作品で、リヨンの病院で収録した70名中10名の面談の様子が描かれています。一人ひとりの真剣な対話が感動的です。このドキュメンタリー映画では約5割がまもなく退院したと言われます。 これまで20回ほど…

保健局によるピアサポーターの導入(フランス)

下記は近年公式に保健局を通じて導入されたピアサポートの話題です。 フランスでは草の根に始まったことでも政策として吸い上げられるのが特徴で、ハウジングファーストも今では国のプロジェクトになっています。 ちなみにリール市東地区ではピアサポートを導入して10年ほど経ちました。医療社会チームに溶け込み、当事者を含むチームのサークルを形成しています。 以下訳 病院や社会的医療アソシエーションで働くピアサポ…

意に反して精神科に入院させられたら

【意に反して入院させられたら】 フランスのツイートより (翻訳を載せたらとても喜んで下さいました。) 意に反して精神科に入院させられた時に、私たちにはどんな権利があるでしょうか? ①次のような治療を断る権利 : 薬 電気ショック 心理療法など 但し、自分や他者を傷つける恐れがある場合は除きます。基本は本人の同意です。 ②私の側に立ち、私の権利を立証してくれる弁護士を選ぶ権利 ③次のような人たちと…

権利保障は安全な社会の土台、安全な精神保健環境の土台

制度を使った精神保健 〜心に安全なしくみを土台に〜 nothing about us without us 『私たち抜きで決めたことは無効です』 『私たちのことは私たちがやります』 精神科の事故原因と病院看護師の感情労働 病院看護師の善意と倫理感、感情労働で、日本の制度に不足する以下のことを補っているといえるのではないでしょうか。? 制度の不足は入院者の不安と不満を増幅させ、それを受け止める過剰…

利用者による『精神保健における利用者憲章』

利用者により作成された 『精神保健における利用者憲章』 ★ 注意 役立てて頂けるように無料で翻訳したものです。ご自由にご利用ください。 翻訳した旨とそのお礼を、草稿者代表であるクロードさんにお伝えしたところ、憲章は法的な効力を持つものではなく、あくまでも憲法、法律、及び障害者権利条約が基準となりますとの事です。 【はじめに】 2000年12月8日、フランスの健康と共助省の障害担当秘書官同席のもと…

【病院の変容と精神保健改革】

        病院の変容と精神保健改革 ~ 病院を無くせ、病床を減らせと言わずに病床を減らすことに成功したベルギー ~ 日本の病床数を減らすことが難しい理由として、精神科病院の約9割が民間で、経営問題と関連があることがよく挙げられます。 家族会のみんなネットや、事業所連合のきょうされんなどで改革が紹介されたベルギーも、民間病院が85%、2000年には人口1万人当たり260床と、欧州一の病床大国…

【病院の変容と精神保健改革 要点】

病院の変容と精神保健改革 病床数を減らすことが難しい理由として、日本では精神科病院の約90%が民間のため、経営問題と関連があることがよく挙げられます。みんなネットやきょうされんなどで改革が紹介されたベルギーも民間病院が85%、実は日本と似たような状況で欧州一の病床大国でした。改革は30年位前から始まり、現在病床は半分に、いわばトライ&エラーの歴史です。 日本と状況の似通ったベルギーがどのようにし…

Aさんの生き方 地域で暮らす方の生活支援

地域で暮らす方の生活支援 約30年間未治療の後に支援につながったAさんの生き方                          大野美子                      愛知県精神保健福祉センター 精神保健福祉士                     統合失調症のひろば 2018.秋号              (筆者の許可を得て掲載させて頂きます)  私は精神保健福祉相談員として…

2021ベルギーUniaによるパラレルレポート (2023国連審査)

2021年 │ 障害者権利委員会 / パラレルレポート UniA 連絡先: ユニオン: キャロル・ヴァン・バッセラエール (フランス語) : carole.vanbasselaere@unia.be ゲルト・ バックス (オランダ語) : gert.backx@unia.be ミリア : デボラ・ワインバーグ (フランス語) : deborah.weinberg@myria.be Rue Roy…