精神保健福祉法の矛盾と誤用不可避性〜当事者の視点から
今日1/6今日は妹の命日、朝6時に病院から連絡がありました。薬が効いて、うつ伏せのまま窒息死したと。40年が過ぎた今も、どんな状況からそんな事になったのか、時おり疑問がもたげます。訴訟を起こせなかった両親、自分の幸せに身を隠した姉。口を開くことのない妹の代わりに私が語り、安全を追及し続けます。
伊藤さんの国賠を通じて、日本の司法が人権という礎を欠いたまま成り立っていることを知り驚きました。が、法の運用上の被害に対する国の責任を問うのがいかに難しいかを経験して、あらためて、人権を守り回復にプラスになる方向に法制度を改善したい!という、私たちの共通した思いを確認することができました。
以下、当事者の語り合いからです。
【違法性、権利侵害が誘発されている例】
医療保護入院制度の構成や曖昧さにより、法を守る事が難しく、却って運用上の違法性、権利侵害を誘発する要因となっている。それは、最初の移送手続きからすでに象徴的である。法自体に無理があり矛盾があり、その根底に違憲性があるのではないか。
1 34条移送手続きが行われていない
市民の誰かが、診察に同意しないか拒否している場合、保健所または精神医療センターに連絡し、県知事の責任で移送手続き(別途添付)をする事とされています。
実際にこの手続きを経る例は少なく、殆どの場合、診断前の移送が行われています。(2020年134件、医療保護入院の0.1%)
2 任意入院の際の退院の申し出の様式の曖昧さと、72時間の退院制限の起点をどこに取るのかが明瞭でないこと。例えば、診察からなのか、行政への届け出からなのか、など。
行政への働きかけをしている当事者の方は、
「法の主旨を無視した運用によって被害が発生しているのを通報しても、県や市が対応しません。立法不作為ではありませんが、現状放置、監督責任の問題としての不作為ではないかと思います」と。
身体拘束ばかりでなく、移送は経験者の共通した問題で、権利侵害に対する怒り、消えない傷となっています。回復にも影響するように思います。非同意入院の医療費を本人が負担することに抵抗がある、認知症の入院者が増えているので身近な問題という意見も。
【人権侵害を問うために必要な道具だて〜構造的不作為】
そもそも市民が裁判で人権侵害を問い、闘うために必要な根本的な構造を欠いているのではないか?そのために人権侵害を問うハードルが高くなっているのではないか? 、
1 精神科の患者の権利法
患者が自らに対する権利侵害を明確に知り、照らし合わせ、証明するために必要な、患者の権利法を欠いている。憲法裁判所がないため現行法の違憲性を直接に問うことができず、裁判で闘う際に、「違憲の疑いのある法律(精神保健福祉法)と一般の民法」に照らさなければならないという矛盾が生じ、患者に不利となっている。
2 権限のある相談先である人権機関等
精神医療に不可欠の、患者の相談に応じる、権限を有する人権機関(人権に関して裁判所に助言する立場で専門家を有する)がないために、裁判に頼らざるを得ず、市民にとって人権侵害の訴えのハードルが高くなっている。
国賠訴訟は、「被害があった後に被害者が原告に立ち、自ら損害を証明し、国の責任を証明して初めて、元となる法の是非を問える。」これも権利侵害の訴えのハードルを高いものにしています。
移送手続きの具体的な流れを添付して、国賠研専門委員会に送りました。うまく表現できていませんが、皆さんの思いが伝わればと思います。
移送手続きの具体的な流れ↓
https://gigi.muragon.com/entry/264.html