~~ 市民による地域精神保健 ~~ 

- 健康は権利 - (無断転載はお断りします) 中村佳世

要約 : アウトリーチ移行を支える本人意思の尊重と権利保障

gigiegugu

2025.5.18アウトリーチネット世田谷大会一般演題応募抄録


アウトリーチへの移行を支える

本人意思の尊重と権利保障


研究目的

 ベルギーの精神保健改革で当事者の経験知、意見が尊重された背景、権利意識を理解します。


研究方法

 措置入院の条件と手続きに見る本人意思の尊重と患者の権利、医療監査、医療事故対応について文献により調べます。


結果

1 歴史

 1990年措置入院の条件と手続きを定め、2025年改正。2002年に患者の権利明文化。この頃安楽死、同性婚を法制化。2007年に差別禁止法制定に伴い正式な人権機関設立。2010年医療事故基金設立。


2 措置入院

要件 ①精神疾患の存在②自傷他害の惧れ③他に方法がない。2024年、④通報時点で弁護士が付き不服申立てが可能、⑤心身の状態に応じ適切なケアが可能、⑥治療同意の有無が明確、⑦判定医と医長による評価の一致、を加え、本人のカルテ開示請求、同意、選択、セカンドオピニオンの権利が保障されました。治療拒否が可能で多くが観察入院でした。

手続き改正 48時間の猶予観察。措置の場合にも本人が治療と方針に同意し実施可能な場合は、関係者を交えて通院、在宅、施設から治療プランが選択可能で、治療を拒む場合は判事と面談の上措置と治療の有無を決定します。人権機関へのアクセスが保障され、要件を欠く時点で措置は終了します。


3 医療内容監査

 患者の要請による医療監査(国立監査委員会)。処方箋により医療と副作用、在庫薬剤などを調べる医療内容監査。また、匿名データの蓄積により、標準治療の質と効果を研究し医療の向上に役立てます。日本では2023年、医療の質を評価するため第三者評価カルテレビュー(任意)が始まりました。


4 医療事故基金

 医療事故で25%以上の健康損失がある、職業継続が不可能等の場合に申請により国が調査し、過失がある場合は国が補償を立替え、医療機関等に補償を促します。過失が無い場合も国が補償します。日本ではコロナワンチン等による健康被害については国が補償、医療事故は訴訟に依ります。


考察

 アウトリーチの普及により、措置入院にも在宅ケアが選択可能になりました。強制性と自由制限に伴うトラウマとスティグマを極力回避し、自分で選んだ場所と方法で安心して主体的にリカバリーするという考え方がありました。また、医療監査は医療の適正化と質向上に寄与し、医療事故基金は利用者医療者双方の係争によるストレスを軽減します。その変遷には自由と本人意思を尊重する考え方が窺えます。

 日本の制度は医療への信頼が厚く、反面、虐待、長期入院、不適切医療、死亡事故など未解決の課題に対する対策が希薄です。患者や家族の傷つきに対する心のケア、権利保障に関する研究も必要です。今日言われる医療保護入院の廃止、抜打ち監査、罰則の強化、および上に挙げた制度で権利意識を顕在化させることにより、より安全で質の高い地域精神保健ネットワークが期待できるでしょう。

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