CPT 欧州議会の隔離拘束に関する取決めQ&A
3/23 恣意的拘禁に関する講演
報告 T・ハーディング、資料翻訳平野裕二
東京第二弁護士会主催
【恣意的拘禁CPT 知識度チェック】
正解は下にコメント付き。
1.精神医療施設における保障措置に関する CPT 基準は、以下の基準等に基づいている。(複数回答可)
a) 世界精神医学会の基準
b) WHO の基準
c) 訪問調査時の CPT の所見
d) ECtHR(欧州人権裁判所)の判例
答 c)d) 1979 年の画期的決定(Winterwerp v Netherlands)による
2.ECHR(欧州人権条約)第 5 条では、以下の者について、身体の自由についての権利に関する例外を認めている。複数回答可
a) 浮浪者
b) 精神が不健全な者
c) 感染症を拡散させるおそれがある者
d) アルコール中毒者
e) 上記のいずれも当てはまらない
答 a)からd)のすべて。この規定は時代遅れと解され、現在対象となるのは精神障害者および(非常に稀ではあるが)特定の感染症にかかっている人々だけである。
3.精神医療施設の患者に能力がある場合、以下の行為について書面で同意を得るべきである。(複数回答可)
a) 注射による投薬
b) 道具を用いた拘束
c) 電気けいれん治療(ECT)
d) いずれについても書面での同意は必要なく、常に口頭での同意があれば足りる(ただし、治療のリスクについて患者に適切な形で情報が提供されることを条件とする)
答 c) 患者による書面での同意が必要
4.精神医療施設のスタッフによる意図的陵虐は……
a) 頻繁に行なわれている。
b) 頻繁ではなく、看護師によって行なわれるのが通例である。
c) 頻繁ではなく、補助スタッフによって行なわれるのが通例である。
答 c) 補助スタッフは十分な監督を受けていないことが多く、時には外注されており、その採用、訓練および懲戒処分について病院管理者が直接の責任を負わないことがある。
5.患者にパジャマを着せたままにしておくことは(複数回答可)
a) 急性ストレス期には、楽でいられる服装として推奨される
b) 患者間の比べ合いや嫉妬を防止するために推奨される
c) 食事中、衣服が不必要に汚れないようにできる
d) CPT は推奨していない
答 d) このような対応は人格的自律および個人性の間隔を脅かすものである。
6.CPT は、精神医療施設における「生きていくために必要な基礎的条件」として、次のものを挙げている。(複数回答可)
a) 暖房
b) 衣服
c) 空調
d) 食事
e) 害虫管理
答 a)b)d)
7.非自発的入院の対象とされた患者は…… (複数回答可)
a) 治療に対して有効な同意を与えることができない
b) 提案されている治療について十分な情報を提供されるべきである
c) 能力がないと判断される場合を除き、いかなる治療に対しても十分な情報に基づく同意を与えるべきである
答 b)c ) 非自発的入院の対象とされたからといって、患者が、提案されている治療について情報を得る権利および当該治療に同意しまたは当該治療を拒否する権利を失うというわけではない。
8.電気けいれん療法(ECT)は…… (複数回答可)
a) 全身麻酔下で行なわれるべきである
b) 麻酔薬ではなく十分な鎮静剤を投与して行なわれるべきである
c) 骨折防止のため、訓練を受けた十分な人数の看護師が患者の四肢を押さえた上で行なわれ
るべきである
d) 他の患者から見えない場所で行なわれるべきである
答 a)d) ECT は、麻酔および筋弛緩剤を用いずに行なうべきではない。
9.道具を用いた拘束は…… (複数回答可)
a) 明確な治療目的がある時以外は用いるべきではない
b) 1 週間以上継続的に適用されるべきではない
c) スタッフ不足の時は適切な対応である
d) 適用する場合、10 分おきに看護師が立ち会わなければならない
e) 上記がすべて当てはまる
f) 上記のいずれも当てはまらない
答 f) 道具を用いた拘束を数日に渡って適用することは、CPT の見解では陵虐に相当する可能性もある。CPT は拘束が治療目的にかなうことはけっしてないと考える。CPT によれば、期間の上限は「時間単位ではなく分単位」である。CPT は、患者と同じ部屋で保健ケア要員が継続的に立ち会うことを要求している。
CPT : 拷問調査団。閉鎖空間であれば24時間、例外を設けず何時でも訪問が可能。欧州加盟47ヶ国を訪問調査。
問および非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰の防止に関する欧州委員会
https://www.coe.int/en/web/cpt/