~~ 市民による地域精神保健 ~~ 

- 健康は権利 - (無断転載はお断りします) 中村佳世

ベルギーの精神保健改革④ (DIU De l'hopital vers la communaute: la reforme des soins en santenmentale en Belgique)

【ベルギーの精神保健改革、つづき】


II ネットワーク


18 ネットワークの構築
▶ 機能的ネットワークの構築
ネットワークコーディネーター
戦略的なプラン
▶ 地域毎の応用設置
▶ ケアと支援資源、専門職の包括 (全ての5つの活動分野)


そんなところから始めてまずベルギー全体を領域に分け、各地区ごとにネットワークと呼べるものを構築しました。それはフランスにおける精神保健セクター とは全く関係ないものです。ベルギーには、行政地域ごとにそれぞれの関係機関が分けられ、それまでに何年も一緒に働いてきた各々の関係機関があります。私たちはそれについては手をつけることをせず、地域という考えを基にして彼らと共に仕事をすることができました。つまり、既によく機能している機関をネットワーク毎に再編したのです。それをここではネットワークと呼びます。つまり、都会か田舎かなど、その地域の実情が反映され、お話しした5つの活動分野を最小限完備した資源の総和のことを意味します。
そして、ネットワークコーディネーターと呼ぶものを組織しました。それは地域の組織の中である程度自律性を持った人たちで、地域を組織する力を持ちます。しかし、彼らが持ち込むアイデアは時に地域の実情に合わない可能性もあるため、サービスの内部には干渉せず、むしろ地域にあるサービスを資源として人々の期待に応えうるよう、より包括的なネットワークを構築していくという役割を担っています。


19 利用者の周囲にネットワークを構築する
▶ 利用者の必要に応える社会的支援とケア資源の運用
▶ 共通の道具 (個人に応じたサービスプラン) 参考人
▶ 利用者による自由な選択


それが、私たちが戦略的な計画について話す理由です。
戦略的計画、過程、コンセンサスなどは精神保健や精神医療ではあまり使われない用語です。まず不可欠なこととして、『水平な考え』というものを理解する必要がありました。『ネットワークの中心は、病院ではなく、精神保健サービスでもなく、社会復帰施設でもなく、人々の必要に応じて機能するサービスの総和なのです。それは都会か田舎かを問わず、そこにある資源を利用して、人々の必要に応えるための戦略です。
この考えはとても大切なもので、フランスで行われているセクター地理的区分制度とは全く異なる考えだと思います。
また、いくつかの国で見られるのとは反対に、ベルギーの精神保健改革は国全体の計画、ベルギーの全ての地域の全ての住民をカバーするもので、点々と存在するプロジェクトではないわけです。よく組織され、ネットワークコーディネーターが中央と現場とを行き来することにより、ネットワーク構築の場がそれらの要素に永続性をもたらし、当局の勧めるプランを一貫したものとするのです。



20 普通の生活を送るためのネットワーク
というわけで、空き家リフォームによる住宅提供
と、この新たな住宅提供をすでにある社会資源に組み込む (地域と医療社会的資源)


ですから実際に機能するネットワークというのは、個人の必要に応じて現場にあるこれらの資源を活用し始めたときに始まるわけです。それこそがネットワークで働くことの成功、つまり必要な時に必要な場所に必要な人がいるというシンプルなことなのです。
言うのは簡単ですが、私たちは自分の所の小さなサイロで働いているような習慣を持ち込みがちで、つまり『サービス毎に』という見方によって仕事をしがちです。それぞれは正にパートナー同士であって、共に研究を重ねた末に互いをよく知っているという特権的なパートナーです。しかし、それをさらに超えていくためには、それが前線にあるのか、大きな研究機関であるか、小さなプロジェクトであるかによらず機能的でなければなりません。なぜなら、私たちは大規模施設に対しても施設という観点のみに焦点をあてることはなく、その他のサービスやプロジェクトのネットワークの一つとして互いに補完的役割を果たすものとして組み込んでいく、というビジョンを大切にするからです。


言い換えると、人々のプロジェクトや必要性によって、適切な時に適切な資源、適切な人をクリニックや個人のレベルに配するということです。ケア過程の柔軟なモデルに立ち返るならば、それは信頼と専門家の共通認識の上に築かれるもので、『うちには全サービスがあり、全てができます』ではないのです。


さて、社会問題にせよ、健康や精神保健の問題にせよ、人々の複雑に絡み合った問題の重荷から導かれるのは、専門家の間で能力を共有し、互いに補完的な機能を果たすというビジョンではないかと思います。
知っておいて頂きたいのは、ベルギーでは今でも南に住む人が、北のケア過程を利用することに何の問題もありません。ネットワークは閉じたネットワークではなく、むしろそれとは程遠いものです。ですからこの改革はとてもシンプルなものなのです。
私たちは、107号条文で、住宅提供問題の一部と動きまわるモバイルチームについて改革を進めました。今ではベルギーのいたるところにこれらかが存在し、更に現在も強化中です。
そして、住宅供給における変革を、既にある地域資源ネットワークの中に統合的に組み込むことを通して、この地域という空間は豊かな創造の空間なのだと覚りました。というのはしばしば病院よりも予算が充てられていない場合があったとしても、人々の全人的な必要性の上には、とてつもない創造力とビジョンが現れるのです。というわけで私たちは、正に既にあるものの中から新たな住宅提供を盛り込むことに力を入れました。
次お願いします。



21 利用者の生活の場で行う
とは言え、まずはもっともっと、
できる限り利用者自身の生活の場でおこなう。


しかし常に、人々ができる限り生活の場を保持できるようにという考えの下になのです。ここは少し説明するに価いするでしょう。
今でもそうなのですが、年々出会うことができた種々の問題のおかげで、その都度理解していったことですが、ジャンリュックと彼のプロジェクトは、たた病院や施設から人々を退院させるというだけの発想ではないと理解するようになりました。より問題なのは、再入院を避けることです。私としてはそれこそが学んだことなのです。
何年もかけて、この病院と施設という概念の意味合いと向き合ってきたのはそういうわけです。
施設の入り口を管理することやよりよい仕組みを作ることはとても複雑な演習問題ですから、精神科病院だけを指さしてはいけない、それも私たちが理解するようになったことです。
つまり病院の問題は、同時に他の精神保健サービス分野の問題であり、再適応の仕組みの問題でもあるということです。ある要請があった時にわれわれがよくやる間違いは、それを追い返してしまって、正しい場所に存在しているかどうかを問題にしないことです。それは前線の問題であり人の問題です。それぞれの必要に応じて線上を行ったり来たり、昇ったり下ったりしています。施設内で働き、また補足的な機能の中で働きますが、しかし施設の要請と施設自身のことに焦点をあてることはないのです。それはとても複雑なものです。
次お願いします。


22 リカバリーを軸としたビジョンによって
ですから、その軸となるのはリカバリーというビジョンだということを繰り返し言いたいと思います。そして、このビジョンを持つのは心理社会的な社会復帰に特化したサービスだけではなく、みんな、全ての関係者が『彼らの人生設計に応じて、社会復帰と社会的リハビリ過程の可能性までを助けるのです。そして、それは全ての瞬間、瞬間においてあるべきもので、絶対に誰ひとり、社会復帰のチャンスはないだろうと最初から言ってはいけません。



23 ネットワーク
真ん中に利用者、仕組み、利用者、精神保健ケア 
プライマリーケア、社会生活、研修と就労、文化スポーツ趣味的生活、住宅 
それぞれが5つの活動分野の機能に対応している。


さて、この図式をご覧ください。利用者を中心にして描きましたがこれではダメです。利用者が真ん中に囲まれてしまっていますから、この図は破棄しなければなりません。利用者はこの図のいたるところにいるのです。
1から5までの機能が描かれているのがわかると思います。さきほどお話した異なる5つの活動分野です。精神保健は利用者が社会復帰するのに寄与することは決してないというのは本当ではないと申し上げたいと思います。精神保健やそこに携わる専門職の人たちは、それぞれがサービス利用者を支援する仕組みの一部分でしかありません。それが、支援とケアについてより総合的にお話ししたいと思う理由です。
心の健康は健康全般と切り離して考えてはならないのです。昔はそうだったかもしれませんが、これからはそのような見方ではいけないと思います。せっかくの機会ですのであえて申しましたが、精神保健に関わる役割はどれもたった一人では全く不充分です。
1番目の機能、プライマリーケアとその関係するリソースの役割を思い起こしてください。順に、社会復帰、病院、住宅、そして動きまわる医療チームと、精神保健に関わる誰ひとりとして忘れてはならないのです。
そしてまだ他にも関わる人が必要です。就労という社会復帰をめざす人の近くに、同じビジョンを分かち合ってくれる就労研修の支援者が見っからなかったらどうなるでしょうか。
同じことは、文化的な活動や住居探し、社会生活についても言えます。図の左側にプライマリーケアが見えますが、その当時目指したビジョンを一つの図の中に正しく描ききることはできませんでした。
しかし当初、精神医療関係者たちは即座に、『待てよ、我々こそ、みな一つのテーブルに付いていている。我々は1人の精神的問題を抱えた人がどういうものであるのかを知っている、それこそ我々の間で討論しなければならない問題なのではないか。』と言いました。
ステップを踏み、年を重ねるにつれ、それは違うということに気づきました。コミュニティの中で仕事をする時には、その個人を取り巻くコミュニティや社会生活、職場関係者や学校、教育機関、それらの関係者が全て、私たちと共に話し合うことこそが不可欠なのではないかと。すみません、私は精神科医ではありませんので。議論はより水平の関係でよい均衡を保ち、より興味深い議論へと発展して、時には参加者の半分くらいしか理解できないほど生産的な内容となりました。
ここで言いたいのは人々の必要性についてなので、精神科医についてこれ以上は注目しないことにします。もちろん、精神疾患学も大変重要ですし、診断も存在します。しかし、私たちはその人々とその家族の必要とするところに、より重点をおいていますので。



24 世界保健機構による推奨モデル 
医療システムおよび精神保健サービスの改善 – OMS (2009)



サービスの最適混合
低から高
高から低
1セルフケア
2インフォーマルなコミュニティケア
3プライマリケアを通じた精神保健サービス
4総合病院における精神科サービス  地域精神保健サービス
5精神科病院& 専門サービス
サービスの必要量



それは文化的にも大きな変革です。時に全く新たな発見をする努力をし、伴に歩む必要がありました。それを少しお話したいと思います。
サービス機構のピラミッドはご存知かと思います。
私たちの以前の財政負担は多分、このピラミッド図の上の部分とあるいは中間的なところに集中していて、その他、図の下部への財政分担はずっと少ないものでした。ベルギーでは精神医療がこれらの構造の中でも超専門化されていて、その他の人々はとても低い地位にありましたので、そのことは常に頭にありました。それは連邦国レベル、そして地方、コミュニティ、現場など、レベルを問わずでした。
私たちは改革の最初から一貫して世界保健機構WHOの勧めに基礎をおいており、今では更にといった具合です。


25 文化的な変革は時間を要するということ
さて、それはもちろん、文化の革新です。それはよくわかっています。今、より複雑な段階にいてもまた、それは常に文化の変革の問題なのですから。私たちが始めた頃の来し方を思い出してみると、それはそれは時間を要するものでした。ジャン・リュックも言いました。6ヵ月もてば、と。しかし、あれから12年になりますが、それでもまだ道半ばなのです。
しかし私は希望に満ちています、もう半分もきたのですから。でも、それにはとんでもない年月を要しました。抵抗という程の抵抗はありませんでしたが、やはりいくらかは抵抗に遭いました。専門職や病院によるロビーイング、その途上であらゆる問題に少しずつ出合いました。当然、そこにはこの変化に伴う怖れがあるわけですから、それも見ていく必要があるのです。
このような経験ができたのは、数か月から半年以内に公立病院を閉じようとしたギリシャの精神保健改革の失敗を体験していたからです。
『明日から6ヵ月以内にあなたの病院は閉鎖になり、コミュニティモデルに変更します』と言われては、当然、30年も働いてきた専門職の人たちはある種平衡を失い、進むべき方向を失いました。
そんなことは絶対にしてはいけません。複雑なカーブを何度も切って進むためには、一人ひとりの専門職、利用者やその家族、のみならず地域コミュニティにしても、じっくり考えるための時間をとらなければならないのです。


26 継続研修
国際的にもたらされるもの 
科学的調査チームにもたらされるもの
地域専門職にもたらされるもの


そして私たちはそれに伴い、連邦政府の大規模な予算を組んで、全ての専門職に対する継続研修を実施しました。ジャン・リュックもそれに参加して最初のプロジェクトの選択に関わってくれました。しかも彼は国際的な経験を有しつつそれを提供できる人でした。
私たちはモバイルチームをリールに派遣しました。取り組みを学ぶことができます。そして彼らによるセミナーを開き、研修を行いました。また、ガバナンスについて非常に具体的なプログラムを完備させ、利用者の協力を得て専門職向けにクロス研修を、科学研究チームと、中でも地方における専門職向けに、行いました。
既にお話ししましたが、現場には当局が知らない、枠にはまらない豊かな創造性がありました。枠内にいる人に十分効果的で筋の通った答えをするには、枠からでなければならないのです。


27 利用者と親族からの助言と意見
さてお話した通り、利用者とその近親者の参加というのが、私たちにとって当初より大変重要な要素でした。それについて成功したと言えるでしょうか、
答えは明らか、というわけではありません。もし、利用者と近親者が話し合いの席についていれば、それは魅力的とは言えます。それだけでいいと言うならそれもいいでしょう。しかし、もう一歩進めなければなりません。
成功したと言えるかどうかはわかりませんが、10年経ってみてともかく、私たちが試みた成人の場合については、全てのレベルの組織に利用者が参加しており、すでに10年、15年、本当に多くの予算を当事者会と家族会に充てて、改革に必要な多くの助言を提供して頂きました。
この投資はベルギーにおいては重要な投資で、助言内容により異なりますが、総額は300万ユーロ(3億円)以上になります。しかし私は、これを避けては通れないと思います。私たちのしたことは必要不可欠な過程と考え、実施したのです。なぜならばそれは外ならぬ彼らのためだからです。つまり、全てのレベルにおいて彼らの視点を考慮にいれる必要があるからなのです。


28 利用者とその周りの人たちの必要に応じたケアと支援を再編する
みなさんは精神保健の日に掲げられるこの標語をご存知でしょうか、『私たち抜きに私たちのことをきめないで』これは正に私たち自身に問う言葉です。『組織の中にいて、《私たち》のことを考慮にいれずに私たちは何かを行うことはできない。』と。


29 参加の度合い
メタレベル 教育機関の参加
研究機関の参加      マクロレベル 政策レベル
メゾレベル  ケアと支援サービス
ミクロレベル 個々人


私たちは正に、彼らとその周囲を取り巻く人々の必要性に応じるという観点から、考え方を再編成しました。それは簡単ではありません。参加するというミッションには、まずマクロなレベルで参加します。そして私たちは、彼らの助言を政策レベルで受け取ります。より困難なのは中間的なレベルでの参加、病院です。利用者たちの参加を受け入れることのできる病院を見つけるのは容易ではありません。もちろん、ミクロな個人レベルではその要素が彼らに直接関わることなのでよりやりやすいのですが。


30 参加の階段
知らされる 熟慮する 声を届ける フォーマルまたはインフォーマルな形で助言できる 意思決定 
反論する


みなさんがご存じの『参加の階段』についてここで詳しくお話しようとは思いませんが、情報を得た後じっくり考えるためには充分な時間が必要です。それが私の言い続けたことです。人々が同じテーブルについて顔を合わせるだけでは十分ではありません。まだやるべきことがあります。そしてその助言を求めて私たちは実によく働きました。
さて、私たちはこれから数か月間、効果的な参加という概念をよりローカルなレベルで発展させ、専門職の人たち、利用者、その家族、近親者が、あるべきところに椅子があるというだけではなく、本当に参加できているかどうかという問いに向けて方向転換しようとしています。
彼らの声を届かせ、アドバイスし、決断し(これがピラミッドの頂点)、それに反論するために。(彼らはすぐに反論を見つけることも理解しました)。私たちはこの反論について非常に興味深い議論を重ねました。それは実に興味深いものでした。


31 エンパワメント
基礎となる哲学
『利用者の精神保健サービスの選択、決定、影響、コントロールに応じて喚起されるエンパワメントは、彼らの人生のイベントにおいて応用発揮される。』
それ以上のことはここでは申し上げませんが。このアクセスという概念については皆さんの方がその秘儀をよくご存じのことと思います。それは、選択であり影響力のある決定であり、彼らの生活の一つひとつの要素に影響を及ぼすコントロールになります。


32 共に働く
各保健局と政治
病院とケアサービス
専門職
利用者と親族
地域社会、市民たち


3段階に区切って仕事をしなければならないのはそのためです。それはミクロ、メゾ、マクロの3段階です。
もし、上からの決定が直接利用者の利益にかなうものでなければ、またその施策の要素が利用者や近親者からみて、相変わらず興味が湧かないようなものであれば、何の役にも立ちません。
そこは熟考すべきです。もし本当に、これらの5つの活動分野を同時に進めることができるならば、ケアの再編を進めることができます。しかし、上から力づくでやろうとするなら、成功のチャンスはありません。
たとえ現場の専門職が素晴らしいプロジェクトを掲げていたとしても、施設から支持されなければ成功のチャンスはありません。
利用者が自分たちだけで改革をしたとしても、標語だけでは、それは小さな隅っこの話で、改革のチャンスはありません。
もし、地域全体の精神保健について語らなければ、コミュニティがなければ、利用者により近い団体つまり市民団体がなければ、成功のチャンスはありません。
本当に一歩ずつ前進と後退を繰り返しつつ、全ての関係者をひとつのビジョンに組み込み、分かち合ってもらわなければならないのです。私たちはそうした障壁に何度あったので、時間をかけなければならないと思います。みんなが合意するためには、前を見ずに急いでダメージを残すよりも、何か非常に堅固なものをもった方がいいでしょう。


33 地理的行政区分


これはベルギー全域がカバーされるネットワークです。一つのネットワークは最小で30万人から120万人までで、少し異なるビジョンがあります。100万人以上を有する大都市のブリュッセルとアンヴェール、それと田舎ではありますが、南のルクセンブルクに隣接する地域には、120万人毎の大規模な領域区分を採用します。これらは、その現場に携わる人々自身によって構想されたネットワークです。
当初はより小さなネットワークが考えられていたのですが、私たちはそのネットワークの組織に投資するために、それを一つにまとめてもらえるようにお願いしました。小さなネットワークに多くの投資をするのはあまり好ましくないだろうと思えたからです。
その点について詳細を語るのはやめておきましょう。そこには資金を提供する機関があって、組織された現場があります。申し述べておきたいのは、どのネットワークも同等だということです。会議の席に着いてこの任務に携わっているのは主に、ここにいるマグダとミュリエルで、毎日日ごとに、よい組織、よい経過、よいネットワークを追求しています。
国レベル、地方レベル、コミュニティレベルの諸局が日常的にそれを追跡しています。こうして私たちは共に前進し私たちの施策を現場に採用し、また現場を施策に採用します。


34 地域の専門職間協働に向けて
さて、いまある段階に来ていますので、エス・ボーゲルの専門化に関することなので、それについてお話してもう少しこの点に注意を喚起しておきたいと思います。
私たちがネットワークに関して仕事をしてきたことはお気づきかと思います。仮に住民が30万人50万人の領域があったとすると、この考え方をそこに導入することができます。しかし、先ほど申しましたように、左側にプライマリーケアを表す小さな丸が見えたかと思いますが、あらゆる関係者と地区レベルで色々やってみましたがそこまでは成功しませんでした。多分ネットワークというビジョンが広過ぎたのでしょう。


ですから、今は、市民の日常生活の中のより現実的なビジョンに立ち返ってみています。ここはよく理解して欲しいところですが、通常通り運用され、すでにある仕組みを補うために新たに提供されるサービスについてご説明したいと思います。あの当時のモバイルチームのように、すでにある仕組みを補う人たちを配置し、新たな資源を携えて新たな何かを持ち込めるもの、それはプライマリーケアのクリニックの心理士と専門的な心理士です。一般論ではありますが、これらがサラとモーガンの報告書になります。私の同僚が頭を傾げるようであれば、私の理解不足かもしれませんし、この部分についてあまりよい語り手ではないのかもしれません。


35 2009年のベルギー精神保健改革
文化的な進化
心理的諸問題の社会的な
利用者と親または親族の参加
病院による継続的なケアの提供
グローバルアプローチと統合
多職種連携と活動分野間の精神保健ネットワーク



ケアの専門職         病院の専門職     
地域サービス     地域救急サービス カウンセラー 産婦人科      メンタルヘルスの専門家
近道 速達   クイックアクセス               
歯科  地域精神グループ、学習会、活動、リハビリ
あなたの健康


(町のイメージ図、いたるところに利用者が行き来し、モバイルチームが行き来する。
様々な機関との連携が可能になる。)


というのが2009年に始めてこれまでやってきた改革です。この改革は、当事者とその親族が参加するという点、また、病院側からのアウトリーチによる継続ケアという点で既に大きな文化的な進化であり、多分野の分野間協力による地域精神保健と説明しました、それはグローバルアプローチとネットワークへの統合という概念として進化したとも言えるでしょう。
コミュニティの産物でもある英国系のマグダがその頃使っていたこの図式が私は気に入っています。とてもよく表わしていると思います。私たちは常にWHOに忠実に従っています。


。。つづく


図が省略されています。
III  はコロナ禍の政治的文脈からです。


DIUフランス医療系大学間『地域精神保健』より
翻訳 : 中村佳世


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