~~ 市民による地域精神保健 ~~ 

- 健康は権利 - (無断転載はお断りします) 中村佳世

市民精神医療 1 理念 psychiatrie citoyenne

みなさん、お元気でお過ごしでしょうか?
社会学も2年目に入り嬉しい出会いがあり、また取り組むくテーマも決まりました。


『市民精神医療』
これから数回に分けて『市民による精神医療』の具体的な取り組みについて書いていきたいと思います。原文は英語ですので直接お読みになりたい方はこちらをクリックするとご覧になれます。フランス語に訳して要点をまとめたものがありますので、後ほど別ページに貼っておきます。


ここに掲載するのは、小中学生にもわかるようにという趣旨で日本語に訳して簡略化したものです。このシリーズが終わったらパンフレットにしたいと思います。
詳細は原文でご確認ください。転載もご自由にどうぞ。


リール市では、よいと思われる方法を世界中から次々に取り入れて実践し、現在の市民精神医療の仕組みを整えてきました。市民精神医療、地域包括精神保健制度とはどのようなものでしょうか。
少しずつですが、できる限り週末ごとに更新していきたいと思います。


【市民精神医療について】 (1) はじめに


【基本的な考え方】
今日では私たちの3人にひとりがなにかしらの心の病をもっていると言われます。必ずしも皆が精神科に掛かるわけではなく気づかないうちに治っていることも少なくないそうです。それは「市民精神医療」の根拠ともなっています。
30年間にわたりリール市では、心の健康を保つことは誰にとっても関わりのあることとして、様々な努力がなされてきました。
病について知ることと治療、予防やリハビリテーション、社会復帰は患者の権利であるとともに社会の義務です。


それではまず「5つの原則」から見ていきましょう。


1 人権・市民権を他人が奪うことはできません。精神疾患がある人も社会の中で健康な人と同じように市民として生きる権利があります。
2 心の病に必要なのは正しいケアです。罪を問い裁いたり、罰を与えたり、閉じ込めたりすることではありません。
3 社会や精神保健サービスは、他の人ではなく、利用者本人の必要に応えなければならないものです。
4 市民精神医療は大きな病院に人を隔離したりしません。モバイル医療チームと市民がサポートします。
5 心の病を持った人は危険である、治療できない。というまちがった考えかたを変えていきましょう。市民精神医療により意識を高め、ケアへのみちをつくりましょう。


これらの1~5の原則を具体的に医療サービスの機能に適用すると次のようになります。
A パラダイムの変更:当事者(利用者)は精神科のパートナーであって所有物ではありません。
B 利用者、家族は、精神保健ケアの専門チーム以外にも、健康や社会に関わる人々とのつながりをもちます。
C 利用者の健康、社会、文化サービスのニーズにバランスよく応えるために、公的機関がコーディネートします。(保健所・市長・公的職員・不動産屋・芸術家・市民などなど)
D 利用者とその家族は、健康管理とプログラムづくりに参加します。


(原文:地域精神医療/JPローラン他, 翻訳とレジュメ文責:中村佳世、中村誠)


次回は具体的にどんな仕組みが町に作られたのかをご紹介します。お楽しみに!

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