~~ 市民による地域精神保健 ~~ 

- 健康は権利 - (無断転載はお断りします) 中村佳世

保健局によるピアサポーターの導入(フランス)

下記は近年公式に保健局を通じて導入されたピアサポートの話題です。

フランスでは草の根に始まったことでも政策として吸い上げられるのが特徴で、ハウジングファーストも今では国のプロジェクトになっています。

ちなみにリール市東地区ではピアサポートを導入して10年ほど経ちました。医療社会チームに溶け込み、当事者を含むチームのサークルを形成しています。

以下訳

病院や社会的医療アソシエーションで働くピアサポーターを養成する講座がパリ13大学で始まった。コースは身体活動とスポーツの科学と技術または心理のコースに属する。安定期にありリカバリーのプロフェショナルである人たちが代替医療に加わり、治癒の過程の問題解決や、自己否定のスティグマの悪循環から抜け出すことを助ける。

今年で二回目になるこの養成1年コースは30名ほど。

ポーリンとエディットは双極性障害の家族、ウーゴは 20歳から30年余り統合失調症、シャンタルは依存症、授業前に廊下でインタビーした。強制あるいは自由意志による入院を繰り返し経験した後に、それぞれの道をたどって回復し、いまでは各々が病の専門家となっている。

ジュディスは2年間、様々な薬を試して自分に最適な薬を見つけた。その経験と知識を他の患者さんと分かち合いたいと願っている。

エンパワメント

「大切なことは医学的分類などよりも、それをどう生きどう脱するかです。」とコース初めの挨拶を、エンパワメントのパイオニアであるロランド医師。彼はすでにリール市郊外の地域精神医療で病院治療の劇的な削減と訪問医療の可能性を広げている。

「リカバリーの段階で自分にとって有効であったことを当てはめて職場での仕事に応用する」と50代、エレガントにスポーツウェアを着こなしたローランさんは1期生。統合失調症の彼はスポーツが安定化にとても役立ったと語る。自然と自分の経験を足場に据え、今はオランの病院で働いている。

「私たちの仕事は、自身の欲求をよみがえらせたいという欲求を取り戻してもらうこと」精神の問題があっても再び普通の生活を送れるようになるモデルとして、手助けをするお兄さんやお姉さんのような存在。代替精神医療の現場で働くほとんどの学生にとって、ピアサポーターという職業の可能性は未知数だ。

「看護師とは異なる役割であることを知る必要があります。例えば、ある患者が、声が聞こえてるのだけれど、怖れからそれを言い出すことができないでいる。でも私にならば他の人によりもそのことを言いやすいのです。」とジュリエット。「心理医療センターの料理教室はとってもいいです。でも私たちはどちらかと言うと患者さんたちとリカバリーについて話したり自立を助けるためにそこに行くのです。」

1年の経験でピア活動の喜びと同時にむずかしさも感じたという人がいる。それはこれまで患者側にいた人がケアする側へとある種バリアを越えなければならないからだ。

精神科医のロランド氏は「あなた方と我々というナンセンスな区別を本気でやめなければいけません。というのも、精神疾患というのは目に見えないもので、口にはださないけれども、医療側の中にも疾患を持つ人はいるからです。」

財源の不足、今までのやり方を変える不安、自分の地位の保証など。。医療スタッフからの不信に遭遇して「偏見からの自由」は常にビアサポーターが口にする言葉だ。ジュリエットは看護師の心ない言葉を思い出して苦笑いする。

ルモンド紙に書かれたように、ピアサポーターは「治療する人であり、組合員であり、利用者でもある」

ポーリン「疾患があってもノーマルな生活をすることは可能 !」と講義の合間の食事をとりながら。

ジュディス「疾患と共に生きるようになって以来こんなに幸せだったことはありません。」

ウーゴ「私も利用者さんたちに、社会的な生活を送り、仕事をもち、助けあって自分自身を偏見の目で見てしまうことから抜け出す権利があることを知らせたいです。」ウーゴはカレの治癒後の代替医療クリニックで働いている。

彼自身、自助グループに参加し、ピアサポートの講習に参加するようになるまで、長い間孤立状態に置かれて苦しんできた。そして今の仕事についた。相互援助と元患者同士で聴き合い経験を語り合うことでより安定する。そこでは入院経験が笑いの種にさえなるとジュディス。

1990年にHIVと麻薬常習者の自助グループができ、彼らには自転車で皇居一周~と同じくらい、薬も精神分析も効果がないと、従来の医学的治療の限界が言われた。シャンタルは予防的NPO活動に参加する。

この教育課程ができて2年、ロランド医師と教育研究所は安定した就職への道をつけると同時に、看護師への周知にも努力を重ねてきた。事実、当初はストライキなど医療者側の反対に会ったりもした。

「水は流れはじめ、その位置を見出し、いずれは国の方針となる。」

ピアサポーターこそが変化の鍵をにぎっている。公立病院が安易に急救の患者さんに電気ショックや拘束にたよる場面を減らせるしだろう。しかし2017年「財政的理由で医療チームへの予算が限られており、ピアサポート制度はさらに予算を圧迫するのではないか」との懸念がある。

「一段落すれば、違った見方をする人も出てくるだろう」とみられている。

「退院すると、ひとりぼっち、どうしていいかわからない。病院で子供扱いされていたので平常に戻る用意ができていませんでした。」とジュディス。「入院当初、私は怒りでいっぱいでした。で、よく観察してみると、財政的にもいっぱいなのだと理解しました。介護の人も忙しく、手一杯で私たちにかまっている暇がないのです。」とポーリン。

彼女たちはピアサポートの医療を学ぶ中で自分たちのリカバリーも強化されつつ再入院の危機を回避する。

名前は仮名です。


https://www.lesinrocks.com/2019/10/11/actualite/societe/a-la-fac-de-paris-13-dex-patients-en-psychiatrie-se-font-soignants/

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