責任能力とは? 判決保留のその後 Affaire Sarah Halimi
山上容疑者が精神鑑定拘置に送られました。
植松は今年4月、弁護士をつけず単独で再審請求。
責任能力無しとされることが不服で、弁護団による控訴を断り死刑が確定していました。
今日は、責任能力について、フランスで起きた事件のその後を追ってみたいと思います。
https://gigi.muragon.com/entry/142.html
【責任能力の争点】
①精神障害の有無と程度
②依存症の有無と、酒、薬物を選んだことへの責任の有無
③酒、薬物の使用しての犯罪が意図的か否か。
サラ.アリミ事件
大麻依存症のアラブ系住民が起こしたフランスのユダヤ人女性殺人事件。
犯人は過去に措置入院しており、薬物により錯乱、責任能力無し。よって一審では無罪、再び措置入院とされた。
この判決を不服とするユダヤ系住民のデモがおきる。
責任無しと認めるならば被害者への救済がない。薬物依存症になる前に、薬物を選んだのは自身の責任ではないかとの見方が示される。いやそれ以前に精神疾患があったからだという見方もあり、意見が分かれた。
二審では、判決を下す根拠となる法律が十分にないとして、判断を保留、問題を議会に送り返した。
フランス議会は上記の論点を鑑み、討論を行い、既成の法の改正ではなく、むしろ新たな法律をつくることにした。
結論から言えば、犯罪を冒した瞬間は意識錯乱で責任能力無し、かつ殺人は意図的では無かったとされたが、大麻により錯乱の危険があることを承知していたはずとして、部分的責任能力を認めることとなった。
責任能力はゼロか100か、ではない。
酒酔い運転による死亡事故を意識したものと言える。
植松の場合も大麻常用者であり、措置入院の経験があるが、意図的な犯行による殺人で、かつ大麻の効果を認識していたと言える。
争点としては施設の実態、県、国の行う障害者政策が問われる。
同時に国民への問いかけでもある。